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ホシガラス

 知っている人にとっては当たり前のことでも、知らない人にとっては驚きの事実、というものが世の中には沢山転がっています。
 どんなに小さな子供が描いた絵でも、真っ黒い鳥の姿をしていれば、見た人は誰でもそれはカラスだと認識するでしょう。カラスと言えば"全身黒い"という当たり前のことが、実は当たり前でもなかったと知ると、世の中はそう平たいものではないのだと、改めて興味がわきます。
 ホシガラスは、これまでなかなか写真に収めることができなかった高山の鳥です。気温がぐんぐんと上がり、風もなかった昨日は、山の動物たちも待っていましたとばかりに大賑わいで、ホシガラスも例外ではなかったようです。いつもは、頭上をあっという間に飛んで行ってしまったり、ハイマツの茂みにもぐりこんでしまったりと、なかなかじっくり観察させてくれることのない彼らが、初夏の陽気に誘いだされたように気ままに餌探しをしていました。確かに地の色は黒く、ガーと少ししゃがれた声もカラスと同じですが、白い尾と、胸から腹、そして背中にかけて目立つまだら模様をしています。「もう少し模様か何かがあれば、カラスも愛嬌があるのに」と、よく家の周りのカラスたちを眺めていましたが、思った通り、これだけ模様があると、つぶらな黒い目がとても可愛らしいのが分かります。
 ホシガラスはリスなどと同じように、冬を越すための食糧を土に埋めて貯蔵する習性があるそうです。ヨーロッパのアルプス山脈では、人間が伐採したマツの林が、ホシガラスの埋めた実で再生した例もあるとのこと。私たちが知らないだけで、彼らもまた山を守っている生き物なのです。

2015年07月13日

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今週のヒューエンス
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