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大地の栄養

 街路樹もすっかり赤や黄へ衣替えを済ませ、にわかに晩秋の趣が漂い始めました。短い夏に急き立てられるように、あちらへこちらへと動きまわっていた身体にも、ほっと一息つけてあげたい季節です。天高く、肥ゆるのは馬だけではなく、私たち人間もきっと同じでしょう。
 出かけた先で、野菜の直売所へ立ち寄ってみたところ、おがくずとともに詰められたユリ根の箱が、沢山積まれていました。こんなところでユリ根が売られているということが、実は意外に思え、またユリ根の旬は今頃だったのか、など素朴な疑問がわいてきました。
 普段の食生活では馴染みが薄いのもそのはずです。帰って調べてみると、北海道は日本のユリ根生産の約98%を担っていますが、そのほとんどが関西を中心とした全国へ出荷されてしまうのだそうです。きっと、身近なスーパーでは、出回る時期も量もごく限られたものなのでしょう。
 調べていく中で、ユリ根の栽培にはとても手間がかかることも知りました。連作を嫌うユリ根は、1年毎に畑を替えて植え直し、収穫までに少なくとも3年がかかるそうです。その代わり、大地の養分をじっくり吸い上げて育ったユリ根には、カリウムや食物繊維、ビタミンC、鉄分などの栄養価が高く、これから厳しい冬を迎える私たちの滋養にはもってこいです。せっかく生産地がすぐ近くにあるのですから、この機会に美味しい料理を学んで、大地の恵みをたっぷり分けてもらおうと考えています。

2015年10月19日

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今週のヒューエンス
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