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湯気が染まる場所

 不思議なもので、冷え込んだ朝ほど、カーテンを開ける瞬間が楽しみだったりします。日高山脈はどんな色をしているのか、木々は白く染まっているか、空は澄んでいるのか、そんなことを期待しているからです。
 いつも見とれてしまうのは、家や工場などから立ち昇る湯気です。朝日の色に染まって光る湯気が、空を目指していく筋も昇っていきます。気温が高い時には見えないものですから、煙ではなくては、やはり湯気なのです。あそこの家も朝ごはんの支度中なのかなとか、あそこの工場はこんな早い時間でも誰かが働いているんだと想像します。
 夕方、太陽が日高の山に沈もうとする頃、馬たちが、飼葉をひっぱり出しながら吐く息も、オレンジ色に染まっていました。草を食む音も聞こえないくらい静かな中に、光る湯気だけが風船状にぼわ~っ、ぼわ~っと広がっては消えていきます。
 湯気の中には、人や動物たちの気配があります。そこに、温かさがある証拠です。だからなのか、その景色のある場所は、身体の芯から凍れそうな空気で満たされているはずなのに、いつも温かく見えて、ほっとさせてくれるのです。
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