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カタクリの咲く場所

 数年ぶりに訪れたこの場所は、カタクリの群生地です。ここは、展望台があるものの、市街地からは遠く、そう多くの人が訪れる場所ではないような雰囲気です。だから、カタクリも沢山残っているのかなと、長い間、そう思っていました。なので、この週末、駐車場所に先客の車が3台も止まっているのを見たときは、すかさず、珍しい!と思ったくらいです。自分の車をその横に並べていると、観光で来ているのとは少し雰囲気の違う、アウトドア系の動きやすそうな服装をした方たちが、それぞれ車に乗り込み、入れ違いに帰っていきました。
 カタクリたちは、散策路を挟んで山側の斜面は、そろそろ花も終わりの頃のようでしたが、谷側の緩やかな斜面は、今がまさに旬の色をしていました。うつむき加減なのに、赤紫の花びらを潔く空へ向けています。じっくり観察していると、つつましいのか、それとも自己主張が強いのか、矛盾をはらんだようにも見える姿に、面白い花だとつくづく思います。
 そう言えば、以前は、山側はもっと群生が広がっていて、谷側はもっと花が少なかったような、と気づきました。群生地のすぐ外には笹薮が迫っていますから、もしかして乾燥が進んで群落の場所が移動しているのかと思いました。でも、よくよく見てみると、谷側はササの葉がきれいに刈られています。太陽の光が林床まで届いているのは、誰かが手入れをしてくれているからのようです。もしかして、入れ違いに帰っていったのは、その方たちだったのでしょうか。
 これまで何度も訪れていたのに、今まで全く気づきませんでした。春ごと現れる赤紫の群生地は、自然に造られるものだとばかり思っていたからです。大自然の営みの中で現れては消える景色も尊いものだと感じますが、人々の思いが寄せられる場所もまた同じです。春のこの一時のために、手を貸してくれている人がいることを知って、改めて、ありがたいと思いました。
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