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春の花

 本州では、桜並木をくぐって入学式へ向かう景色が見られたのかもしれません。北海道もいつもよりも早く暖かくなり、まさか桜も咲いてしまうのでは?などと思っていたら、氷の花が咲きました。
 週末、夜から降り出した雨は、朝にはみぞれ混じりの雪に変わっていました。太陽が高くなる前に止んだものの、荒ぶった春の風に押されてやってきた雲の塊は、雨粒になってフロントガラスを濡らします。峠にさしかかると、それは再び雪に変わり、冬と変わらぬ銀世界が広がります。いつもの北海道の季節感を思えば、驚くことではありませんが、近ごろの陽気ですっかり油断していただけに、なんだか頭と体の座りが悪いような気分になります。
 あてもなく向かった摩周湖に着いてみると、さぁ、木々が白い!もちろん、白樺の木だからというだけではありません。雪でもありません。細い枝にも、びっしりと氷の粒が付いているのです。霧氷の一種で、冬の山では「エビのしっぽ」とも呼びますが、過冷却された水蒸気が、木の枝にぶつかって氷になったのでしょう。
 摩周湖の青と霧氷の白の景色を見たいと、もう何年も、寒さの厳しい時期に最低気温をまめにチェックし、狙いをつけて夜明け前から向かったこともありましたが、かなうことはありませんでした。彼岸も過ぎたこの時期に、まさか会えるとは思ってもみなかったのです。風が強く、カムイヌプリを写すような鏡面ではありませんでしたが、深みを増した摩周ブルーと、周りを囲む白い木々とのコントラストは、思い描いていた景色に近いものでした。
 自然がこちらの計算通りに動くわけはないと分かっていても、どこか、予想は当たるものだと思ってしまうものです。それが裏切られる度に、自然の偉大さを知り、自分の小ささを再認識させられます。今回もまた完敗です。でも、負ける時は大抵、いい景色に出会えたときでもありますから、最後には、不思議な、でも決して嫌ではない敗北感で終わるのです。


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