近所で
帰り道、自宅へはもう30分ほどのところで、たまたまカーナビの地図に、陸上競技のトラックのような緑地が見えました。地図の縮尺から判断すると、かなり大きいように見えます。興味津々で、交差点をいつもの帰り道とは反対方向へ曲がります。地図では、道路のすぐ隣にそのトラックのような場所はあるようですが、高い土手の向こう側にあり、様子をうかがい知ることはできません。外周の４分の１ほど走ったところで、自動車メーカーの看板が立っているのを見つけ、なるほどテストコースだったのかと、合点がいきました。でも知らなかったな～、こんな近くにコースがあったなんて・・・。
すっきりなぞが解けたところで、今度こそ家に向かいます。今にも一降りきそうな空ですが、雲の薄いところからは、夕日の名残が透けて見えています。山間を抜けると、青々としたビートの葉と収穫間近の小麦の黄色が縞模様を描く、なだらかな丘に出ました。隣の道は何度も通ったことがありました。隣と言っても、十勝の広大な畑の間に敷かれた主要道路は、数キロ離れていることも珍しいことではありませんが、それでも、少し先にこんな景色が広がっているとは想像していませんでした。
ちょっとした違いと思っていることが、実は大きな違いだったということは、世の中には沢山あるのかもしれません。知っていると思っている場所も、実は知らない景色の方が多いのかもしれません。全く知らない場所で、新しいものばかりに囲まれるのも刺激的ですが、実は知らなかったという意外性を知ることができるのは、身近な場所なのかもしれません。
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