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未就学ヒナ

 風流な池の水の流入口は、小さな滝を模していて、その手前にきれいな丸石が積まれていました。そこへ続く散策路は、新緑が覆いかぶさるように影を落としていて、春の香りをいっぱいに満たしながら、木漏れ日の中を池へと導いてくれます。
 その小さな滝へ向かって、ひらりと舞い降りたものがありました。一瞬、落ち葉?と思いましたが、近くで写真を撮っていた人が、少し驚いた様子でその場所を指さしています。近づいてみると、小さな鳥が、丸石の上にちょこんと止まっていました。滝を背景に、まるで舞台にでも立っているかのように、またそこが自分の居場所であるかのように、しばし逃げる素振りもありません。手を伸ばせば触れられるのでは?と思えるような距離での様子に、それを見た人間の方が皆びっくりしてしまっています。
 まだらな羽で特徴的な黒いネクタイもはっきり確認できませんでしたが、この子はシジュウカラの幼鳥かもしれません。カラの仲間たちは、幼い頃に数種類が集まって、言葉(鳴き声)を学ぶことがあるそうです。危険な生き物を見つけた時など、仲間へ知らせる鳴き方を一緒に教えてもらうのだとか。その学校で、まだ人間が逃げるべき対象として教えられていないのかもしれません。折しも、少し前にサバンナで最も恐れられている動物は、ライオンではなく人間だったという研究結果を耳にしたばかりでした。偶然にも、逃げない野生動物というものに出会ってしまうと、人間が、自分たちに害意があってもなくても、自然界では基本的には避けられる存在だという現実を、逆に意識させられてしまいます。まだ何色にも染まっていない世界を眺めているだろう小さな目を、複雑な気持ちで見つめ返してしまいました。
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今週のヒューエンス
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十勝の景色生き物
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