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なんとも言えない気持ち

 この週末は私にとっての山開きでした。いつもの年と同じように、様似町のアポイ岳からスタートです。前日の雨のお陰できっと花たちは生き生きとしているに違いない!春先に咲く花と初夏に咲く花とが重なり合うこの時期は、沢山の種類が見られるに違いない!これまでの経験から、条件としては最高と期待をしていましたが、実際は拍子抜けしてしまうほど花たちは小さく、また種類も、数も、昨年と比べてもずっと少なくなっているのを目の当たりにする山行になってしまいました。
 何かがおかしい・・・そんな気持ちを抱えたまま帰った翌朝、地元紙の朝刊に「天空の花畑、今は昔」という記事が、アポイ岳や大雪山での調査・研究結果とともに掲載されました。気候変動の影響は高緯度の地域ほど大きいと言われ、北海道の山岳地帯では近年の気温の上昇や乾燥化により、冷涼な気候でしか生きられない動植物の生息域が狭まっているとのこと。まさに前日に感じた違和感の答えを突きつけられたようでした。
 少し前から始めている自ら撮った写真で作る図鑑に、アポイ岳の巻があります。これまでの写真を整理しながら、種名、学名、撮影日などを入力していきます。種名(和名)を漢字で表記するのは、覚えやすくて好きなのですが、学名も必ずチェックしています。こちらは覚えられるとは思っていませんが、どんな人が見つけたのか、どんな場所に特有の種なのかを想像できるからです。これまで私がアポイ岳で撮影した花の学名の小種名や変種、品種名には、「apoiense」や「hidakana」などがつけられていて、アポイ岳や日高山脈などに特有の形態や分布をもった植物たちだということがわかります。毎年、同じような季節に登っているので、毎年同じような植物ばかりを撮っているのですが、10年以上前の記録に、近年はあまり見かけていない、学名にapoienseをもつ花が写っていました。自分の作った図鑑が、昔を懐かしむためのものになってしまうのではないかとふと想像し、何とも言えない気持ちになりました。
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