株式会社 ヒューエンス
HUENSは、水と空気をきれいにして、自然に戻す
環境浄化システムをご提供させていただく会社です。

 エンレイソウ


 5月の夏日が嘘のように、冷たい蝦夷梅雨の空が続きました。5月が暑く、6月は寒いというのは毎年のことのようでもあり、「いつもこんなに寒かっただろうか」と記憶を確かめたくなるような気持ちもあり、近頃は何が"いつも通り"だったのか分からなくなってしまいます。
 でも、こんな風にいつも通りの季節と言うことが、実はそれほど意味のあることではないのかもしれないとも思えてきました。日高の南の方で4月の末頃に咲く花が、北海道の真ん中辺りでは今咲き始めました。あと1ヶ月も過ぎると、秋のチシマギキョウの青い花が咲き始めたと気づいた先で、まだ春のエゾコザクラのピンクの花畑があった、などということも珍しくないでしょう。季節は一方向に流れるもののようであって、そうではなく、実はモザイク状に訪れるものかもしれないと思うのです。それは、山があり、海があり、四季がある日本だからなのでしょう。複雑な地形に季節の流れが加わることは、地理的な多様性と生物学的な多様性が掛け合わせられることになります。学生の時には、聞いただけで身構えていた"順列と組み合わせ"の公式を思い出して、妙に納得してみたりしました。


 1枚目の写真はエンレイソウ、2枚目は恐らくミヤマエンレイソウの写真です。5月の初め頃に林内に大群落をつくり、馴染のあるオオバナノエンレイソウとは違う種です。エンレイソウの仲間は、北海道では日本で記録されている10種類全てを見ることができますが、雑種がつくられやすく、形態的な特徴だけではなく、親となるエンレイソウ種の生育状況を調べなければ、なかなか種類を特定することが難しいそうです。たった10種類、されど10種類のエンレイソウが、花好き泣かせの花だと聞けば、逆に興味をかきたてられます。
 雑多なようで巧妙で、繊細なようでたくましく、逆もまたしかり。自然は私たちの理想だとか希望だとかをそっちのけで流れていきます。それが当たり前のことで、あれやこれやと型にはめて論じようとする方がおこがましく、本当の面白さを半減させることにつながってしまうのかも、と思うのです。


2016年06月20日