5月の夏日が嘘のように、冷たい蝦夷梅雨の空が続きました。5月が暑く、6月は寒いというのは毎年のことのようでもあり、「いつもこんなに寒かっただろうか」と記憶を確かめたくなるような気持ちもあり、近頃は何が"いつも通り"だったのか分からなくなってしまいます。
でも、こんな風にいつも通りの季節と言うことが、実はそれほど意味のあることではないのかもしれないとも思えてきました。日高の南の方で4月の末頃に咲く花が、北海道の真ん中辺りでは今咲き始めました。あと1ヶ月も過ぎると、秋のチシマギキョウの青い花が咲き始めたと気づいた先で、まだ春のエゾコザクラのピンクの花畑があった、などということも珍しくないでしょう。季節は一方向に流れるもののようであって、そうではなく、実はモザイク状に訪れるものかもしれないと思うのです。それは、山があり、海があり、四季がある日本だからなのでしょう。複雑な地形に季節の流れが加わることは、地理的な多様性と生物学的な多様性が掛け合わせられることになります。学生の時には、聞いただけで身構えていた"順列と組み合わせ"の公式を思い出して、妙に納得してみたりしました。
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