やはり、秋の空は変わりやすい、のでしょう。晴れの天気予報に期待をふくらませ、日本一早い紅葉をいち早く楽しもうと旭岳へ来てはみたものの、山は全体真っ白な雲の中です。雨が止む気配のない空を、うらめしい気持ちでしばらく見上げていましたが、上へ行くことを諦めて街へ戻りました。美味しい昼ご飯を頬張りながらも、諦めきれなかった気持ちに根負けしたのか、食事を終える頃には太陽の光がちらりちらりと差し始めました。もしかして晴れるかも！期待が高まり、一度降りた山道を急いで戻ります。
ロープーウェイ乗り場周辺には、まだ紅葉が下りてきていないようです。緑の木々と、ほんのり黄色く染まり始めた草紅葉が、雨水を貯めた池塘のような小さな池を取り囲んでいました。旭岳の５合目、ロープーウェイの終着点に下りると、辺りは再び真っ白です。でも、展望台へ着いてみると、少しだけ雲が押し上げられていました。おお〜！歓声が上がります。鮮やかな緑に朱をちりばめた山肌が姿を現したのです。ひとしきり写真に収めて後ろを振り向くと、向こうもいい感じです。わぁ〜！きれ〜！一瞬しか現れない雲の切れ間を見つけては、あっちへこっちへと向きを変え、場所を変え、その都度感嘆の声を上げ、決して広くはない展望台の上で皆大忙しです。帰りのロープーウェイで一緒になった方が言っていました。「緑と赤が混ざっているからいいんだよな〜」と。全く同感です。一面が真っ赤に染まっていたら、全く違った趣になっていたでしょう。自然はどうしてこうも絶妙に美しい姿になりえるのか、本当に不思議でなりません。
次の週末はきっと、麓へ向って鮮やかな紅葉がもっと広がっていることでしょう。抜けるような青空の下で、遠くまで秋の山並みを見渡せたら、それは何よりです。でも、秋の空に振り回されつつ、気まぐれに現れる瞬間を待つのもまた一興です。連休のどこかで、みんなそれぞれ感動の景色に出会えるはずです。でも、ダウンジャケットやフリース、ウィンドブレーカーは忘れずに！日本一早い初雪に会える可能性もありますよ。
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