株式会社 ヒューエンス
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 カラマツの季節


 秋と初夏、1年に2回、カラマツの気になる季節はやってきます。北海道へやってきて、初めて、落葉する針葉樹を知りました。日本の落葉針葉樹ではこのカラマツだけで、本州では亜高山帯より高いところでしか見られませんが、北海道では植樹林や防風林として平地でも見ることができます。
 まだ学生だった頃、構内にカラマツ並木がありました。広葉樹のにぎやかな紅葉は終わりを迎え、さびしさが漂い始めたたそがれ時、実習農場へ向かう途中だったか、その並木道を歩いていると、さわさわと通り抜けた冷たい秋風の後に、針のような小さな金色の雨が降りました。それが黄葉したカラマツの葉だということを当時は知らず、太陽の光を受けながらきらきらと舞い降りてくる雨に、ただただ言葉を失っていました。世の中にこんなに美しい瞬間があったのかと感じたほどです。
 そして初夏のカラマツ。ぬれるとまだ手がかじかんでしまいそうな雨の中、黄緑の若葉が美しい季節です。黒々とした真っ直ぐな幹の力強さと、生まれたばかりの柔らかな緑のコントラストは、胸のわだかまりもすっと流してくれるような気持ちよい空気で、辺りを満たしてくれます。雨の日の散策も悪いものではない、そう教えてくれたのは初夏のカラマツ林だったような気がします。
 さて、今秋、先週初めの温帯低気圧が連れてきた大風で、思ったよりも早く、近郊のカラマツは葉を落としてしまいました。やっと青空の見えた連休最終日の午後、カラマツ林を求めて南へ向かいます。そう言えば、今年、夏の初めに通ったあの道沿いで見たような。記憶をたどりながら、雲の切れ間から太陽がのぞく度に黄金に染まる林を見つけては車を走らせ、その先の林へ進んでまた太陽の光を待ちました。風のないこの日のカラマツは、静かに十勝の平野を染めていました。あの時見たような黄金色の雨には、あれ以来出会えていません。来年こそは・・・そう思い続けて、気がつけば結構年月が経ってしまいました。

2017年11月06日