ひと月ほど前に植えたトマトの苗が、あまり大きくなりません。勿論、天気の悪い日が続き、太陽の光や熱が足りないこともあるでしょう。もしかしたら、トマトには少し不向きな土壌だったのかもしれません。同じ時期に植えた他の施設のトマトは、もう人の背丈を越えそうな勢いだと聞くと、何やら心配になり、事あるごとに様子を見に行くのですが、人の背丈ほどになるにはあとどのくらいかかるのか、見当もつきません。
でも、花の後にふくらみ始めた青い実は、少しずつでも大きくなっているのが分かります。葉も茎も、多少の雨風では倒れそうもないくらい、触ると驚くほど張りがあります。人の心配などはどこ吹く風で、植物は、天気が悪ければ悪いなりに、土が悪くても悪いなりに、生きることに手を抜くことはないのでしょう。ひとつずつでも花を咲かせ、少しずつではあっても実を大きくし、小さいなりに葉をめいっぱい広げ、できる限りのことをしているのを感じます。きっと、もっと大きくしようとすれば、肥料を増やしたり、土を入れ替えたり、人ができることも沢山あります。でも、既に力強く生きている植物に、安易に手を加えることが果たしていいものなのか、と疑問が浮かびました。そしてそれ以上に、良くはないかもしれない環境の中を生き抜き、赤くなる実はどんな味がするのだろうか、という興味が、何よりも大きく、もうしばらく見守ってみようと思っています。
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