夕刻、青白い雪原を軽やかに走るキタキツネ。雪に鼻を近づけて何かを確認しながら、あちらこちらと方向を変えながら動き続けています。帯広はもう、路肩の雪も無くなりそうな暖かさではありますが、山際はまだ厚い雪に覆われています。その上を、埋まることなく歩き回る軽やかな足元をよく見てみると、指をいっぱいに開いて足裏の接地面積を大きくしているのが分かります。私たちにはかんじきやスノーシューが必要なところを、彼等は自前でまかなっているのですね。 　まっさらだと思っていた雪原には、実はウサギの足跡が沢山ついていました。キタキツネはその足跡をなぞるように走っていたのです。ウサギの匂いを確認していたのでしょう。一時は、向けられたカメラに気付いて顔を上げたものの、すぐさまウサギの追跡に戻りました。あっという間に数百メートルの雪原を横断し、あっという間に山肌を登って行きました。何も持たずに野山を軽々と渡る身軽さをうらやましく思いつつ、今日の食事にありつけるのか、ウサギは逃げ切れるのか、気になることばかりの出会いは一瞬で過ぎました。

2019年03月04日

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