厳しい場所
木々は緑を深くし、晴れ間が見えればエゾハルゼミのにぎやかな鳴き声が響く季節になりました。このぐらいになると、晴れの日はもちろんですが、雨の日でも外を歩くのが楽しくなります。週ごとに主役の代わる野山の花を撮ろうと思うと、太陽が隠れている曇りの日は黒い影が写り込まず、雨の日は程よい水滴で、より瑞々しく鮮やかな色を楽しむことができるからです。
ただ、こんな日は往々にして風も強いものです。一向に揺れの収まらない花々をファインダー越しに見ていると、こんな雨風の強い場所で、何故こんなに美しい花を咲かせられるのかと考えさせられます。
美しい野生の花を見られる場所は、決まって自然環境の厳しい所です。見るからに養分のなさそうなガレ場、時には人でも吹き飛ばされそうな風の強い山の背、冬は何メートルもの雪に埋もれる谷の底。平地の植物も容易には生育することができない場所ばかりです。
易きに甘んじて草木に埋もれるか、他が選ばぬ険しい地に根を張り鮮やかな花を咲かせるか。
揺るぎのない美しさを突き付けられると、いつもそう問いかけられているような気がしてしまうのです。
2015年06月01日
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