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小さな身体

 機会があり、先週、カモの調査を見学させてもらいました。折しも今季初めて最低気温が氷点下を記録し、草木にはびっしりと霜がはり付いた寒い朝でした。
 夜明け前に集合し、前日から準備してあったという仕掛けにかかったカモ達に、追跡用の足環をつけます。主にカモ類の渡りや分布状況を調査するためのものです。空が白み始めた頃、機を得て仕掛けを作動させ、あれよあれよという間に21羽のマガモとカルガモが捕獲されました。出勤の時間もあり、残念ながら全ての行程を見ることはできませんでしたが、捕獲された内8羽には既に足環がついていたそうですので、貴重な調査データが加わることになるでしょう。
 以前、川に生息するヤマメは、幼魚の頃に十分に餌を得られなかった身体の小さな個体は、大海へ出てサクラマスと呼ばれるようになり、川に残り続けたヤマメの倍以上の大きさになって故郷へ戻ることを知りました。この辺りで見られるカモ類も、土着の個体と渡りをする個体とに分かれ、後者はやはり身体が小さいそうです。カモの場合、長距離を移動した結果で身体が小さくなったのか、はたまた身体が小さかった個体が渡りを選択したのか、そこまで詳しく伺うには平日の朝では時間が足りなすぎましたが、いずれにしても、環境や身体的に不利な状況を生き抜く術が、何千キロもの移動を繰り返すことだということが、いつも途方もないことだと感じてしまいます。
 人間は身体的なハンデを、頭を使うことで補ってきました。それでも、野生の動物たちが、迷うことなく遥かな目的地に到達できる能力が、何に依るものなのかは未だ解明しきれていないそうです。地球はそれだけ広くて深いのです。私たちは、翼をもつことはできませんでしたが、考えるという無限に広がる力をもって生れついたことに感謝をし、そして正しく使わなくてはいけないと感じます。

2015年10月26日

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今週のヒューエンス
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