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海の幸

 十勝と言えば、畑作や酪農が代表的な産業として知られていますが、美味しい魚を味わえる料理店も実は多いのです。
 帯広から車で約2時間の漁港で、毎月第4日曜日に朝市が開かれています。ここは、12月最初の日曜日に毛ガニ祭りが開かれることでも知られていますが、この毎月開かれる朝市でも、お祭りで長蛇の列に並ぶよりも確実に、そして自宅周辺のスーパーで買うよりも安く、新鮮な毛ガニを手に入れることができるのです。
 朝市が始まる1時間ほど前からテントが立てられ、人が集まり始めます。面白いのは、このときはまだ商品が運び込まれる前で、どこに何が並ぶのか確信のないまま何となく列ができていくところです。「この列は毛ガニらしい」、「この列はタコらしい」、「この列は貝らしい」という具合で、実際に商品が並び始めた時に目論見が外れていたことに気付くと、別の列に並び直さなければならない事態にもなります。師走の寒空の下、これが名の通った大きな朝市などであれば、不満の声も吹き出しそうですが、ここではそんなことも無く、地元に根ざした市なのだなぁと、こちらも大らかに列に加わります。
 朝ゆでのタコ、八角やししゃもの干物をつるした棚が現れ、魚や貝の入ったケースが列の前に積まれ始めると、どれもつやつやと美味しそうで、「あれも食べたい、これも食べてみたい」と目移りしてしまいます。目当てのものを買うためにじっと並んでいる間に、他の魚たちはどんどんと買われて行き、開店から15分もしないうちに、ほとんどの商品は売り切れてしまいます。「ここがもっと帯広から近ければ、毎月でも来られるのに」と、このときばかりは十勝の広さを恨めしく思い、一方で、どこへ行っても美味しいものに出会える地に暮らしていることの幸せを改めて思うのです。
 多くの皆様のお陰で、令和元年も無事に納めることができそうです。1年間本当に有り難うございました。新しい年には、また元気に皆様とお会いできることを、心より期待しております。

2019年12月23日

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