くるみ割り
よく冷えた朝、しばれたハマナスの赤い実が、散策路を縁取っていました。モノクロームの空の下、葉が落ちて、太く短い棘と赤い実だけが浮き上がってくると、何やら妖艶に映ります。
近頃は、くるみ割り人形ならぬ、くるみ割りガラス(烏)をあちこちで見かけるようになりました。知らないうちに、オニグルミの美味しい時期を迎えていたのですね。
それにしても、この辺りのカラスたちは、クルミをよく食べています。でも、リスのように自力で殻を割る術をもたないカラスたちが、栄養価の高いクルミを"食糧リスト"に加えることができたのは、人間のおかげと言っても過言ではありません。カラスが高いところから道路をめがけてクルミを落とす光景をよく見かけますが、落ちただけではあの固い殻が割れることはなく、大抵は、車に踏まれてこなごなになったものを彼らは食べています。つまり、車が、カラスにとってのくるみ割り人形で、車社会がなければ彼らがクルミ食を習慣とすることもなかったかもしれないのです。
なかなか手を出せないものは魅惑的です。カラスは、ずっと長い間、リスが美味しそうに食べるのをみて、時にはおこぼれにあずかってその味を知っていて、ずっと長い間、クルミを食べたいと思い続けていたかもしれません。図らずもその手助けをすることになった人間側からすると、くれぐれもリスたちと喧嘩をしないように!事故に遭わないように!と願うばかりです。
2020年11月24日
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