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小さなずれ

 先日、久しぶりに社外の現場に出かけた時も、暑い日でした。車の窓を開けて走っていたら、草の香りが一気に車内に吹き込んできました。ちょうど、一番草の刈り取りの時期でした。日々の生活の中で、木々の緑の深まりからも、鳥のさえずりからも、肌を射す太陽の熱からも、季節の遷り変わりを感じているつもりではいましたが、香りというのは、本能にぐっと近い場所を刺激してきます。体内センサーが目覚めたかのように、「カチ〜ン!」と一気に夏へ切り替わりました。
 長く続くマスク生活で、今は香りの刺激を感じにくくなっているのでしょう。匂いが直接鼻を刺激する場面は格段に少なくなりました。そして、視覚や聴覚から得られる季節感と、嗅覚から得られるそれとの間には、小さな差が生まれていたのかもしれません。だから、草木の香りをダイレクトに吸い込んだ時、それらが一気に解消され、体内時計のつじつまも合って、何とも言いようのない、胸がすくような気持になったのでしょう。
 体の揺れの感覚と視覚情報とのずれが生じると、乗り物酔いになってしまうと聞いたことがありますから、感覚器同士の情報のずれは、体にとってはストレスなのかもしれません。「五感をフルに!」と言えば、観光業の宣伝文句のようですが、とても大事なことだったのだと、と今となっては思います。針葉樹の匂い、スパイスのきいた料理の匂い、故郷の駅の匂い・・・VR技術が発達した今となっても、匂いは、すぐそばへ行かないと感じられないものです。

2021年06月28日

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今週のヒューエンス
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