想像で追いかけて
この冬は、ほどよく間隔を空けて雪が積もります。おかげで、時々やってくる訪問者の痕跡が、ほどよく更新されていきます。
物置裏の積もりっぱなしの雪山に残された足跡に、最初に気づいたのは2月初めごろでした。三つセットの足跡はウサギのものかと思いましたが、それにしては小さく、爪の跡もはっきりとしていたので、きっとエゾリスでしょう。夏の間、何度か横切るのを見かけましたので、同じリスかもしれません。
そしてこの週末にも、数センチほど雪が積もりました。2月初めとは違う方向に足跡が続いていて、「また通ったんだな」と分かりました。家の周りには、残念ながらリスの餌になりそうな実のなる木はありませんので、少し先の、松の並ぶ通りまで行っているのでしょうか。それとも、さらに何百メートル先のカシワやミズナラの林まで足を延ばしているのでしょうか。
ほんの数歩の足跡は、情報としては少なすぎるかもしれません。でも、その分、想像の世界を広げてくれます。どっちに向かったんだろう、いつ通ったんだろう、なぜこのルートなんだ?などなど、分からないところは、全部そのまま想像で置き換えることができるからです。そして、きっと現実は、その想像の枠を超えて、もっともっと広がっているんだろうなとも思うからこそ、わずかな痕跡を見つけた時に、わくわくしてしまうのです。
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