言霊
そろそろクリンソウの季節だろうか、そう気づくと、無性に見に行きたくなりました。クリンソウは、新緑が深みを増す頃に、明るい林道などで花を咲かせます。他のサクラソウの種よりも、やや濃いピンクの小花で花火のように丸い輪を描く、とても可愛らしい野草です。釣りが趣味で毎週のように野山を歩いているという先輩社員に、クリンソウが見られる場所を知らないか尋ねてみましたが、かつての群生地は開発などでほとんど見られなくなったとの答えに、すっかり意気消沈。私自身も、あてもなく入った林道で偶然見つけたのがかれこれ10年近く前のことで、その場所の正確な記憶は遠くなってしまっていました。
週末、全く別の目的のため、がたがたと林道を走っていくと、光に透けるきれいなシダの影が見えました。カメラを持って外へ出ると、初夏を思わせる匂いと、鳥たちのさえずりに満たされた新緑のトンネルが、気持ちよく続いています。このまま歩いて目的地まで行ってもいいな、などと思っていると、ひざ元に濃いピンクのつぼみを見つけました。クリンソウ！！まだ咲いていないけれど、嬉しくて写真に収めてしまいました。
つづら折りの林道をさらに登っていくと、花が開いている群落も発見。そうそう、この景色が見たかった！満開になるにはあと数日から１週間という頃合いでしたが、それでも大満足です。まるで引き合わされたかのような出会いに、数日前の先輩社員との会話を思い出し、これは言霊だろうかと思いました。小さなことでも、かなえたいことを言葉に出してみることは大事かもしれません。次は何に会いに行こうか・・・
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