霞んだ空に
初夏の雨は嫌いではありません。むしろ乾いた大地をやさしく潤すような小雨の日などは、緑が生き返っていくようで、心が浮き立つことさえあります。でも、平日は抜けるような青空が広がるのに、週末には天気がぐずつくと、恨めしい気持ちも見え隠れし始めます。
連休が明けてからというものの、そんなぱっとしない予報の週末が続いていました。体が資本の仕事を続けている方には、こんな日曜日はゆっくりと過ごすことができて良いのだろうとも想像します。でも、平日はほぼパソコンの前で過ごしている身としては、逆に休みの日こそ思う存分に太陽の光を浴びたいと思うもので、時には気持ちが消化不良になってしまうのです。
暖かくなり始めた北の大地は、霞の中に明るい褐色と緑が交互に配置されて、雨を降らす雲が低くなったり遠ざかったりするごとに、雪を残した山々が見え隠れします。山の上では、冬を越した深い針葉樹の緑と、芽吹いたばかりの広葉樹の若い緑とがモザイク模様を描いています。
車から出てひとつ深呼吸をしました。この香り・・・。冬の空気に負けないくらい澄んだ、でも、冬とは比べ物にならないくらいみずみずしく生き物たちの気配を含んだ空気です。懐かしい、と思ってしまうのは、やはり長い冬を越えた後だからなのでしょうか・・・。
雨の日もやはりいい。来週は、たとえ雨だったとしても緑の中を散歩してみよう、そう心に決めました。
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