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ラッセル

 冬のけもの道は、生き物の様子を想像する楽しみを与えてくれます。たどっていけば、その生き物に会える可能性もあるわけですから、餌を探すキツネでなくても、追いかけてみてくもなります。
 十勝らしいどこまでも広く平らな雪原では、時には肉球も判別できるほどのきれいな足跡を残してくれることもありますが、山の斜面につけられたもの、特にエゾシカのけもの道は、雪の割れ目ように続いています。気温や積雪量によっては雪崩が起きてもおかしくないような急斜面ですが、垂直方向の道は木の近くを通っていたり、木の少ないところはトラバース(斜面を横断)していたりと、雪山の歩き方の参考になりそうです。
 そんな風に感心して眺めていたところ、オスの姿を見つけました。雪の下から笹の葉を引っ張り出して食べていたようですが、警戒して直ぐにその場を離れようとします。でも雪は深く、すっぽりと頭の高さまで埋まっているのが見えました。文字通り全身雪まみれでラッセルして逃げていきます。あぁ、あの割れ目のようなけもの道は、こうしてできていくんだ。あんな深い雪の中を駆け上ることもできるんだ。そんな頼もしいような切ないような心持ちで見送ります。
 今年は暖冬で雪も冷え込みも緩やかのようではありますが、それでも、夏と同じように餌にありつけるわけではありません。そして、私にとっては「あんな雪深いところ」と思うようなところも、日高や大雪山系の真ん中よりは、ずっと穏やかで過ごしやすい環境なのでしょう。生き物たちの足跡をたどりながら、この季節の神々の遊ぶ庭に思いを馳せてみます。
カテゴリ
今週のヒューエンス
タグ
十勝の景色生き物
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