キャンプ場で
蝦夷の梅雨は、乾いた空気に潤いを与え、降るたびに緑をぐんと大きく、また濃くしていきます。自然を感じられる中で、会社のことをみんなで話し合いたいという希望のもと、全社会議を市内のキャンプ場で行いました。全員参加では初めての試みです。
帯広市内とは言え、場所は日高山脈の麓に向けてグッと近づいた場所にあります。市街地を抜けると、ひたすら広大な畑の間を真っ直ぐ進み、「一体どこまで行くの?」と心配になる頃に、案内板に従って細い道に入っていきます。木々が覆いかぶさるように迫り、道幅が更に狭くなり、それまでぽつりぽつりとあった人家もなくなって不安になる頃に、青々とした芝生の広い空間がぽっかりと現れます。初めて訪れた人は、きっとここまで来てやっと安心することでしょう。
会場のセッティングは、キャンプ場のサービスでほとんど済まされていて、すぐに会議後のバーベキューの準備に取り掛かったり、サッカーやバレーで日頃の運動不足を解消したりして過ごすことができました。会議が始まると、ブユの襲来があったり、準備していた炭火から灰が風に乗って降りかかったりと、室内では起こりえないハプニングがありましたが、それを差し引いても有り余るほど、どこを向いてもみんなの背景に映る緑が美しく、気持ちの良い空気の中で、思い思いに話すことができました。
懇親会が始まると、後は飲んで食べての無礼講です。あいにくの曇り空は、灰色が青へ、青が黒へとゆっくりと深まっていきます。驚く速さでお肉を消費してひと段落した後も、チーズフォンデュや焼きマシュマロは大人気でした。普段は難しい顔をして仕事と向き合っているメンバーが、そろって串に刺したマシュマロを手に、じりじりと焼加減を見定める姿を見るのは楽しくて仕方がありませんでした。
今回のイベント、希望者はキャンプ場で1泊することもできました。半数はテント泊が初めてだったり、子供の頃以来とのこと。それぞれのテントで寝袋に収まった後、ちょっとしたハプニングがあったようです。夜も更けわたる丑三つどき、子供が唸るような叫ぶような声が近くで轟き渡っていたそうです。出発前からヒグマの心配をしていた社員は、震え上がって同室のメンバーとネットで声の主が誰なのかを調べ、どうやらクマではなくキツネらしいと結論づけ、どきどきしながらも寝ることができたとか。翌朝、そのことを聞かされ、爆睡していて全く気づかなかったことを伝えたところ、「えぇ〜っ!もしクマだったらLINEで連絡が来るだろう、それがないからきっと大丈夫だと思っていたのに!!」と、ひどく呆れられる始末でした。そうです、良くも悪くもテント泊に慣れてしまっている私は、キツネの鳴き声程度では目を覚さないようです。何だか本人のあずかり知らぬところで謎の信用を落としてしまいました。でも、もし本当にクマが出たとしたら、のん気にLINEを打って知らせることなんてできるんだろうか・・・?!
普段とは違う環境に置かれ、みんなそれぞれに突っ込みどころが満載の1泊2日となりましたが、本当に楽しく貴重な時間を共有できたことが、何より良い思い出となりました。