雪の下で
北海道では夏鳥のキジバトが、朝、デーデーポッポと鳴いていました。ツグミたちは北帰行の途中です。冬の間はさえずることがない(口をつぐんでいる)ため、その名がついたツグミたちですが、今の季節は、群れでやってきてはジュージューとおしゃべりをしながら、街路樹に残ったナナカマドを食べつくしそうな勢いです。
生き物たちは着実に春を告げてくれているところですが、このところは気まぐれに吹雪になる日が増え、空模様は三寒四温の前で足踏みをしているようでもあります。それでも、昼の間、プラスの気温が増えたことで、雪解けは随分と進みました。そして、2月の大雪の爪痕が少しずつあらわになってきました。嵩はあるけれど、さらさらだった120センチの積雪がどんな重さだったのかを私たちが直に知ることはできませんが、雪解けが進んだ庭から現れた木々たちがそれを物語っていました。根元に近い位置で折れて倒れてしまっているものもあれば、細い枝がそれぞれに折れてバラバラな方向を向いてしまっているもの・・・。十勝はドカ雪が降る地域ではありますが、今までこんな風になった姿は見たことがありませんでした。思えば、これまで自身が経験した最大積雪の2倍を超す量が、たった半日で積もったわけですから、想像を超える事態が起きていても何ら不思議ではなかったのでしょう。厚い雪に覆われ隠されていた被害が見えてくるのは、もしかしたらこれからなのかもしれません。
枝の折れた痛々しい木々の足元をよく見たら、チューリップの芽がもう既にいくつも顔を出し始めていました。長く寒風にさらされ凍った大地の下でも、ちゃんと育った命もありました。生き物たちはそう簡単にはへこたれない、そんなことはこれまでさんざん見てきたことだったはずですが、ほんとうに救われたような気持ちになりました。そう、枝の折れた木も手入れを続ければ、また元気に成長してくれるかもしれません。あきらめるにはまだ早いですね。
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