HUENS(ヒューエンス)ロゴマーク

Human Engineering & Systems

Instagram rss
  1. HOME
  2. トピックス
  3. 今週のヒューエンス

島の朝(出張編)

 夜明け前、鳥たちの声で目が覚めました。前日遅くまで続いた打ち合わせで頭を使いきった感があっただけに、朝は早く起きれないかもしれないと覚悟していましたが、時計の針はいつもとそう変わらない時刻を指していました。いかにも光を待ちわびている空はほの暗く、随分と遠くまで来たのだなと、ぼんやりとした意識が動き出した次の瞬間、「日の出が見られるかも!?」とひらめき、そこからは、秒針に負けない速さで身支度を整え、外へ飛び出しました。
 約5万年前の噴火で流れ出た溶岩が冷え固まってできたというごつごつとした岩場は、小さな入江を複雑に描きながら、視界の奥まで続いていました。きっと、日の出の時刻は過ぎてしまっていたのでしょうが、運よく、東の水平線には雲がかかっていて、転んだらただでは済まなさそうな岩場も、慎重に足を運ぶだけの余裕を与えてくれました。波しぶきが立っても濡れないくらいの大きな岩をここだ!と決め、腰を下ろします。
 人影はもちろんのこと、昼間は全方位からからその存在が感じられたフナムシたちのうごめく音も今はなく、波だけが寄せては返す独特のリズムを刻んでいます。岩に当って行き場を失った波たちがあちらこちらで渦を巻いていて、それをただ、きれいだと眺めながら待ちます。
 灰色がかった淡い水色の空に、オレンジの光が滲み始めました。真夏の貫くような力強さはないけれど、温かい光です。新しい一日が始まった、体にも心にも、かちっとスイッチが入りました。
カテゴリ
今週のヒューエンス
タグ
出張編
更新日
閲覧数
80
↑ページ先頭へ