春先のシェルター
春先の野の花は華奢なものが多い中、とりわけ存在感のあるのがザゼンソウです。その名のとおり、僧侶が座禅を組んでいる姿に似ていることから、ザゼンソウと呼ばれています。十勝平野は開拓以前、土地の大部分が湿地だったことから、今でも湿地性の植物が多く残っています。ザゼンソウもその一種で、植物の分類上はミズバショウなどと同じ科に属しています。
このザゼンソウ、花を咲かせる時に、強いにおいを発すると同時に、自身の温度を25度程まで上昇させます。外気温が10度を行ったり来たりするくらいの寒さの中、この花のにおいと温かさに誘われて、多くの虫たちが集まってくるそうです。ザゼンソウとしては、勿論、虫たちを集めて受粉をしてもらうための「作戦」ですが、虫たちにとっては、中央の花を包み込むような紫色の大きな葉の形も相まって、さながら「シェルター」のようです。
とは言え、西洋の人々にとっては、この花のにおいの印象の方が強かったようで、ミズバショウ共々英語では「スカンクキャベツ」と呼ばれているとのこと。私としては、和名のネーミングセンスの方に軍配を挙げたいところです。
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