夜明けの空
山の朝はとにかく早いものです。あとひと月もすれば秋彼岸を迎える時期とは言え、太陽は4時半にはすっかり顔を出してしまいます。ほとんどの人が、日の出の1時間前には起き出して、出発の準備を始めたりしますが、不思議とこんなときの早起きは苦にはなりません。
手を伸ばせば届きそうな雲たちが、オレンジともピンクともとれる淡い色に染まってきたら、丘の向こうで、もう太陽が顔を出そうとしていることが分かります。ほんの数分の間、準備の手を止めて誰もが空を見上げ、それぞれが感動に浸っているのが伝わってきます。
今回、大阪から2週間の休暇をとって、念願だった北海道に来たという方と、話をする機会がありました。2週間のプランを練りに練って、この後の行程も何パターンか考えていたようでしたが、こんなに気持ちの良い場所が他にあるのか、と疑問をもってしまうほど心を動かされてしまい、予定を変更してもう一泊することを決めたようです。「ここにいつでも来られる北海道の人は、自分のような者からすれば本当に贅沢に見える。でも、この景色を当たり前と思っている人は、もっと贅沢に見える。」
背伸びをしてお金をかけることだけが必ずしも贅沢とは限りません。本当の価値を理解せずに通り過ぎてしまうことも、周りから見ればもったいないことに見えるのでしょう。当たり前と思う景色の中にどれだけ人の心を動かす瞬間を見つけられるか、何だか試されているような言葉でした。
2015年08月17日
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