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食物連鎖

 いつもより静かな朝に、カーテンを開けると外は白い世界に変わっていました。ついに冬将軍がやってくるのか、と身構える気持ちが半分、きらめくような雪と氷の世界に踊る気持ちが半分。でも、温かな暖炉の前でのんびりネコのように丸まって過ごすのも、イヌのように雪の中を走り回って過ごすのも、どちらにも幸せを感じられます。
 寒気とともに、道東で冬を過ごす大型の猛禽達も次々と南下をしてきているようでした。夕暮れの十勝川では、オオワシが大きな影を落としながら飛んでいる姿を見られるようになりました。水中のサケをつかみ上げては、高い木の上へ運ぼうとしますが、横取りを狙うカラスやトビに猛追されるという場面をよく見かけます。確かにカラスもトビも執拗に獲物を追う性格ではありますが、あんな大きな鉤爪やくちばしをもち眼光鋭い相手に、よく攻撃ができるものです。また、川岸でサケをついばむオオワシの群れの中に、更に大きなタンチョウのつがいが混じっていました。どちらも白と黒の羽が美しく、また魚を好むという点では共通していますが、これまではあまり目にしたことのない不思議なとり合わせです。
 食物連鎖のピラミッドは存外、柔軟なものなのかもしれません。豊かな餌場の前には、海のものも山のものも集まり、また、いつもは追い追われる関係も、同じ獲物を狙って競い合う仲となりうるのです。サケの遡上は既にピークを過ぎているようで、もう少ししたら、鳥たちも山や海のいつもの縄張りへと分散していくでしょう。暖気と寒気の勢力が逆転するこの時期、生き物たちの微妙な変化が、とても興味深い季節です。

2015年11月24日

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今週のヒューエンス
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