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小さな仕事人

 花の周りを飛び回る昆虫と言えば、チョウやハチを思い浮かべると思いますが、よくよく眺めていると、アブやハエの数の方が多いことに気付くでしょう。野外でチョウの写真を撮ろうとするとなかなか難しいものですが、花の写真を撮ると、意図しなくても大抵はハナアブやハエの種類が一緒に写り込んできます。正直なところ、アブやハエの被写体としての魅力は高くはありませんが、実は彼らも、花粉を運ぶ大切な役割を担っています。次から次へと花を巡回して花粉を運ぶチョウやハチに対して、アブやハエはその数の多さで花粉を広めることに役立っているのかもしれません。
 先週、草取りをした畑には、今、トマトの苗が2本だけ植えられています。黄色い花が咲きましたが、周りには他に花がありません。これでは受粉してくれるチョウやハチは寄ってこないかもしれないと、草をきれいに抜き取った後に気付きました。風の刺激や人工的にでも受粉はできますが、昆虫が花粉を運んだ場合の方が、結実率も実の品質も良いのだそうです。チョウでもハチでもアブでもハエでも構わないから、誰かうちのトマトの花を訪ねてきてはくれないかと気をもむこと1週間、枯れた花がぽとりと落ちた跡に、小さな小さな青い実がついていることに気付きました。良かった!何だかほっとしました。
 この世の中には、注目されない存在も沢山います。もしかしたら、そうした存在の方が大多数なのかもしれません。でもそれは人の価値観の外にいるだけのことです。私たちの気付かないところで、私たちには出来ないことをしてくれていて、それは命の豊かさを支えてくれています。トマトが赤くなったら、小さな仕事人たちのことを思い、有り難くいただこうと決めています。

2018年06月11日

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今週のヒューエンス
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