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輪郭

 正確な表現は少し違っているかもしれませんが、免疫システムにおいて、自己は空洞のようなもの、というようなことが書かれているのを、以前見かけたことがあります。確かに!と、目からうろこが落ちるようでした。言わずもがな、免疫は病気から自身を守るためのシステムですが、その方法は「自己」(自分)と「非自己」(自分ではないもの)を区別し、非自己を攻撃したり排除したりして、疫から免れるというものです。システムでは、自己ではなく、「非自己」を記憶しておくことで、次に同じ異物が侵入した時にも、効率よく排除できる仕組みになっています。つまり、点描のように、「非自己」を示す点がキャンバスに書き加えられていくにしたがって、何も描かれていない部分が「自己」として浮かび上がってくるイメージです。「自己は空洞のようなもの」という表現にも、納得してしまいます。
 自分というものを、自分が一番わかっていなかったと感じたことがある人は、沢山いるのではないでしょうか。でも、それは、当たり前のことなのかもしれない、とも思うのです。空洞にいくら目を凝らしてみても、何も見えてはこないでしょう。自分の周りに、どんな人たちがいて、どんな風が吹いて、どんな生き物が行き来して、川や山や季節がどんな色をしながら移ろっているのか、それを見て、共感したり反発したり、逆風に向かってみたりに流れに乗ってみたり、好きだなと感じたり、これは嫌だと強く思ってみたり、そんな経験を幾度となく重ねていくことで、自分の輪郭が、ぼんやりと現れてくるような気がするからです。世の中が大きく動いている今は、自分が形作られる機会なのかもしれません。そう考えると、外の世界は、決して他人事ではないのだとも思います。
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