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 サンクチュアリに着いたのは、午後の三時をやや過ぎた頃でしたが、太陽はすでに傾き、すっかり夕刻の雰囲気が漂っていました。この冬は、家禽も含め、各地で鳥インフルエンザが発生しているという記事を見かけていましたが、鳥たちの様子はいつもと変わりませんでした。雪に埋まった餌をついばむものと、羽に顔をうずめて眠るもの、ピヨピヨと鳴き続ける雛と、さまざまに過ごしているタンチョウたちを、人間たちもさまざまに眺めています。
 さらに太陽が低くなると、鳥たちの鳴き声が変わりました。誰かに呼ばれたかのように、大勢が同じ方向に顔を向けました。そして、一羽、また一羽と顔を向けた方向へゆっくりと歩き始めました。その群れの中で、情熱的にペアが鳴き合い、その熱が、全体に伝播していくように、声の塊が大きくなっていくのを感じます。先頭の一羽が、首を水平に伸ばして動きを止めました。低い姿勢のまま助走を始め、低く宙に浮きました。ペアの相手がそれに続きました。数羽が一斉に続くこともあります。まっすぐ南へ向かうもの、林沿いに旋回してから向かうもの、夕焼けにとけていく鳥の群れを、次々に見送ります。
 彼らを呼んでいたのは、雪理川にいる仲間たちでしょうか。太陽はすっかり沈み、淡い地球影が背景になりました。サンクチュアリには、まだ数羽が休んでいましたが、あの喧騒はうそのように、静かな空間だけが残されていました。


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