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カパッチリカムイ

 “鷲のなる木”を訪ね、鷲に会えずにがっかりしたのは、わずか数週間前。まだ天気の良かった先週の祝日、思わぬところで彼らに遭遇しました。
 青空に誘われて、気の向くまま車を進めた林道で、突如、目の前に飛び出したのは1羽のオオワシ。驚いて車を止めたところ、オオワシやオジロワシが手の届きそうな高さから次々と飛び出してきました。
 その数、ざっと十羽ほどいたでしょうか。あまりに突然の出来事に、カメラを持つ手も定まらぬ私を尻目に、彼らは悠然と風に乗り、仲間たちと大きく円を描くように高度を上げ、やがて姿が見えなくなりました。

 体長は1メートルを超え、羽を広げれば2メートル半もあるというオオワシ。アイヌの人々はカパッチリカムイ(ワシ・神)と呼び、その真っ白な尾羽は交易品として珍重されていたそうです。いろいろと検索してみると、オオワシより少し小さい(とは言え、羽を広げれば2メートルを超す)オジロワシも、同じく純白の尾羽をもっていますが、彼らはカムイの称号を与えられなかったとのこと。その理由はいろいろとあるそうですが、白と黒の羽に包まれ、鋭く光る眼をもったオオワシの姿は、森の食物連鎖の頂点に立ち、カムイと呼ばれるにふさわしい出で立ちだったのではないかと想像します。
 また同じ場所を訪ねれば、彼らに会えるでしょうか?道東には、オオワシの飛来地が沢山あるそうですが、こんな間近で目にする機会は、この先、そう何度もあるものでは無いような気がしています。しばらく興奮醒めやらぬ、本当に幸運な出会いでした。

2014年2月17日

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