春の準備
雪解けが一気に進み、大地の色が戻ってきました。秋まき小麦の畑をのぞけば、まだ緑は少なく、冬の間、雪や氷に閉ざされた草木が、そのままの姿で風に吹かれているように見えます。でも、よく観察してみると、木の先は赤やオレンジに変わり、着実に新しい枝を伸ばしていることが分かります。
エゾシカの群れに会いました。まだ冬毛をまとった子供は、母親のそばにぴったりと寄り添って歩いていますが、目はしっかりとこちらを見据えています。あと数カ月ほどで、妹や弟も生まれ、いずれは親に、そして群れを率いるリーダーになっていくのでしょう。
カラマツ林では、アオサギも新しい家族を迎える準備に余念がありません。十数個ほどの巣がかけられた大きなコロニーのようです。巣の材料になる枝をくわえた仲間たちが、大きな羽を広げて行き来していますが、見張り役の1羽の目は、こちらをしっかりと警戒しているのが遠くからでもわかります。
春は生き物にとって大切な季節です。私たちには軽やかに聞こえてくる鳥のさえずりも、彼らにとっては縄張りを守るための必死な声です。生き物たちが命をかけて命をつないでいく、1年で一番ダイナミックな季節はもう始まっているのです。
2014年4月7日
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