高嶺の花
高嶺の花は何故美しいのか。
憧れの人を言い表すのであれば、手の届かない切ない気持ちも加わって、美しさが増して見えるということもあるでしょう。でも、高嶺に咲く花は、本当に、どの花も美しいのです。
雪融けを待ちわびたかのように、山の上では花たちが咲き競っています。写真はキバナシャクナゲです。高地に適応したシャクナゲの中でも、最も風の強い場所で咲く種類で、地上に低く枝を広げ、沢山の花をつけます。咲き始めの若い花は淡い黄色をしていますが、時間が経つと花は白く、雄しべと雌しべはピンク色に変化していくそうです。
同じ時期、キバナシャクナゲよりも少し濃い黄色の花をつけるウコンウツギという高山植物がありますが、この花は受粉を終えると、花の中心が赤く変化します。鮮やかな赤はハチを集めやすく、まだ受粉を終えていない他の花へハチたちを誘導するのではと考えられています。そして、同じ木に咲く全ての花が受粉を終えると、一気に散ってしまうのだそうです。何ともドラマチックな生き方です。
風の影響を受ける高地では、多くの植物が受粉を昆虫に頼る虫媒花です。つまり、虫たちを惹きつける鮮やかな花を咲かせることは、確実に種を残していくために最も重要な戦略だったのでしょう。厳しい環境だからこそ美しく生きる。そこには、単なる見た目だけではない奥の深さと力強さがあり、私たちに感動をもたらす力の源であるような気がします。
2014年7月7日
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