三羽鷲
太陽が山の端に沈んでしまうと、ピンク色に染まった空の下では、青白い雪原が一層寒々しく浮かび上がります。時刻はまだ午後5時前。でも、そろそろ家に帰らなくてはと、気も焦りだす時間です。
そんな夕刻に車を走らせていたある時、小さな街に入り、小さな川の橋を渡りながら何気なく向けた視線の先に、黒っぽい大きな影がありました。
オジロワシが3羽、雪の上にちょこんと座っていたのです。
広げれば2メートルを超すような大きな羽に対するには、脚が短すぎるのか、折りたたんだ翼の先も尾羽の先も地面をひきずってしまい、地上で座っている姿はでんとしたダルマのようなペンギンのような、空を飛んでいる時の凛々しさとは対照的に、何だか愛嬌のある姿です。
三羽のうち、二羽は大人で、もう一羽は若鳥でしたので、おそらく親子なのでしょう。大人たちは子供を促すように順に飛び立ち、ゆっくりと海の方角へ向かっていきました。
夏の間、動物たちを隠してしまう深い緑も今はなく、雪が降れば原野も道路も皆一様に真っ白く、人間の暮らす場所も生き物たちの暮らす場所も境界線をあいまいにしてしまいます。そのお蔭なのかどうか、彼らをずっと身近に感じられるのが、冬の楽しみでもあります。
2015年02月02日
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