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雪をかき分けて

 雪に閉ざされる、という言葉があります。帯広は豪雪地帯とまではいきませんが、年に何回かまとまった雪が降り、夏の間は北海道らしい広々とした道路が、冬は積み上げられた雪の壁で、これまた北国らしい狭い道へと変わります。必然、私たちの活動範囲が制限されてしまうこととなりますが、それは、野生動物も同じようです。鳥のように海を渡ることができず、ネズミやリスのように身軽でもないキタキツネやエゾシカは、雪の少ない川沿いや海沿いに移動していくことが多いそうです。
 そんな、冬の間は深い雪に閉ざされるオンネトーへ、スノーシューで出かけてみました。オンネトーまでの一本道は、約1.5キロ手前の温泉宿までしか除雪されず、その先は自分の足でしか進むことができません。夏なら徒歩でも20分もあれば優にたどり着ける道のりですが、何しろ雪が深く、スノーシューを履いていても膝上までは埋まってしまいます。どうやら、諦めてしまった先人がいたようで、途中からはまっさらな道を、みしっ、みしっと踏みしめながら進むこと1時間、やっと、湖畔へ辿り着きました。
 オンネトーは、魚が生息できない酸性水質ということもあり、夏の間はカヌーなどで湖に立ち入ることが禁止されていますが、厚い氷に覆われたこの時期だけは、歩いて対岸までも渡ることもできます。エメラルドグリーンの美しい湖が、今は自分の足元で静かに眠っているのかと思うと、何とも不思議な気持ちです。
 湖の上で昼食を楽しみ、いつもは足が向くこともほとんどない、展望台へも登ってみました。ちょっとした冬山登山気分を味わって、開けた視界の先では、雌阿寒岳と阿寒富士が荘厳な面持ちで座っていました。夏も美しいけれど、冬もいい。
 この日、私たちの他にも10人ほどのグループと1組のご夫婦が、スノーシューでオンネトーを訪れていました。一方、道中見つけた生き物の足跡は、ネズミとウサギのほんの数か所だけ。こんな雪の中を歩いてくるなんて、人間は何と物好きだと、動物たちは呆れているかもしれません。

2015年01月26日

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今週のヒューエンス
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