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氷の世界

 この週末の十勝は、気温が上がり、春の嵐のような激しい風が吹き荒れました。
 冬の間は全面凍結しワカサギ釣りの愛好家が集まる糠平湖も、例年に比べて氷の薄いところもあるようで、湖に流れ込む小さな川の辺りでは、既に厚い氷が崩れ始めていました。

 割れ目から見える氷は、美しい青色をしていました。大雪の森から集められた水の結晶はこんな色になるのかと、しばし心を奪われます。

 こちらは糠平湖名物のキノコ氷です。傘部分の氷が透き通り、太陽の光が差し込むと美しさを増します。

 この日は、風がとても強かったため、積もった雪が吹き飛ばされ、湖面の氷が見えているところもありました。氷の中では白い気泡が不思議な模様を造っています。
 先月の地元紙に、湖底から発生するメタンガスが閉じ込められたものではないかと書かれていましたが、これがそうなのでしょう。氷の世界は場所によって表情も違い、枯れ草は海草のよう、気泡はクラゲが漂っているかのように見える所もありました。サンゴの海の上を歩いているかのような、不思議な感覚です。

 しばし地吹雪が止むと、タウシュベツ橋が大雪の山並みをバックに美しく映りました。
 あまりの風の強さに、何度も引き返そうかと思いましたが、次々と現れる氷の造形美に誘われて、対岸まで渡りきってしまいました。寒風にさらされた頬は赤くひりひりとしていましたが、冬の楽しみがまたひとつ増えた一日でした。

2015年02月16日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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