雪解け水
世界中の情報をリアルタイムで好きなだけ得ることができる、なんてことは、実は少し前まではとても信じられないことでした。それが、インターネットの普及で、今はそれが当たり前の時代になりました。便利にそして世界が広がったと感じることもある反面、止めどなく溢れている情報は、その価値が薄まっているように見えることもあります。
情報の手段が限られていた時代は、様々な人の目というフィルターを通って世の中に発信されていました。それは情報をコントロールされる可能性というマイナスの面もありますが、反対にある程度価値を認められたという証でもありました。誰もが情報を発信することができるようになったということは、何のフィルターも通らない情報が増えたということでもあります。
半年をかけて積りに積った雪が融けると、時に春限定の川を作り出すほど豊かな水が供給されます。でも、その水には大気中の塵や埃、近年では工場や車の排煙に含まれる化学物質などが溶け込み、そのままでは口にすることはできないことも多くあります。長い時間をかけて大地のフィルターを通った地下水は、不要なものや有害なものが濾過され、私たちの飲み水になります。溢れる情報の中から、本当に価値があるもの、後世に残すべきものが何なのかが分かるまでには、きっと時間がかかるでしょう。大きな流れに、ただのみ込まれてしまわないために、本当に大切なものはどこにあるのかを見極める目を培うことが、これまで以上に大切な時代だと感じます。
2015年07月06日
- カテゴリ
- 今週のヒューエンス
- 更新日
- 閲覧数
- 552