秋空
女心と秋の空。今でこそ誰も違和感を抱かないであろうこの言葉も、広辞苑に初めて掲載されたのは1998年と、ごく最近のことなのだそうです。男性の移り気を秋空になぞらえたのがもともとの始まりで、女性の移ろいやすい心が表に現れやすくなった近代になって、この言葉も使われ始めたようです。
日高の山々も、雲の流れに見え隠れする度に、尖った頂が白くなったり消えたり、忙しく様子を変え始めました。一方で、ひつじ雲なのかうろこ雲なのか、のんびりした雲が浮かぶ日も増え、眺める人間も、秋だな〜、とついついのんびりとしてしまいそうです。
でも、そこで終わらないのがこの季節。あっという間に、大きな厚い雲の塊が流れてきては、ぽつぽつと雨を降らせます。丘の向こうは太陽が射しているのに、と見ていると、虹の裾が現れ始めたりします。空が変われば景色も変わり、いつもは通り過ぎてしまうような場所で意外な光を見つけ、立ち止まることも増えました。
暗いのか、明るいのか、雨なのか、晴れなのか、それとも雪に変わるのか、いろんなものがごちゃまぜになってどんどんと流れていく秋は、楽しいけれども気まぐれに振り回されているようでもあり、やっぱり女心に近いのかもしれない、などと思えてきたりします。
2015年10月05日
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