冬の森
帯広は、半月ほど前に根雪となってしまっていましたので、北海道はどこも雪が積もっているのかと思っていましたが、帯広より南の海沿いはわずかながらもまだ暖かな風が吹き込んでいるようです。日高では、隙間なく地面を覆った朝の霜が、きらきらと陽の光を反射させる中、サラブレッドがのんびりと草を食んでいました。
ひと段落した忙しさと、まだまだ続く忙しさの中で、無性に森の空気が恋しくなり、いつもの散策コースへ出かけました。夏の間は、すれ違う人の多さに時々閉口してしまう場所も、今は2〜3人とすれ違う程度の静かな森へ戻っていました。
ゴジュウカラが木をつつく音が小気味よく響き、遠くの川のせせらぎも聞こえてきます。雪が融けたばかりの春先の森もそこは同じではありますが、草木が葉を落としたばかりの小道はふかふかで心地よく、1年の間でもこんなにも違うものかと驚きました。そして、もうひとつ、春一番に紫色の花を咲かせるユリの仲間、ショウジョウバカマが既に緑の葉を這わせていることに気がついて、少し驚きました。
そうか、彼らは寒さが厳しくなってからも、わずかな光を集めて養分を蓄え、雪に埋もれてからもひたすらじっと暖かくなるのを待つのか。改めて見渡せば、スミレの葉も、シャクナゲやエゾマツの小さな芽も、緑色の葉をぴんと広げていました。ただただ、彼らの強さに頭が下がる思いです。
(春一番のショウジョウバカマ)
2015年12月14日
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