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地球の呼吸

 真っ黒な空間から、白い粒が数珠のように連なって伸びています。鏡の奥に広がったような空間はどこまでも深く、何やら宇宙の淵にでも吸い込まれそうな感覚にとらわれます。
 
 近頃の強い寒気のお陰で、糠平湖は全体が厚い氷に覆われていました。東大雪の山々から吹き下ろされる強い風が、わずかに積もった雪をすっかり吹き飛ばしてしまうと、ところどころに氷のフロアが現れます。底の浅いところでは南国の海のように淡い水色の、底の深いところでは写真のように宇宙空間のように黒いフロアです。吹きガラスのように艶やかな氷の上に立ってみると、割れて冷たい水に落ちるかもしれないという恐怖よりも、なんて美しくて不思議な場所なのだろうという興味の方が勝り、中を覗き込んでは見入ってしまいます。
 
 氷の中に不思議な模様を描く白い泡は、湖上のあちらこちらで見ることができます。浅い氷の中にも、切り株に乗っている氷(キノコ氷)の中にもありました。以前調べた記事には、これらは湖の底から発生したメタンガスではないかと書かれていましたが、きっとそれだけではないでしょう。湖の中の植物や魚、ちいさな微生物たちみんなの呼吸の跡ではないかと思います。普段は目にすることのできない地球の息づかいが、氷に閉じ込められて、かくも不思議な芸術として現れたのでしょう。

2016年02月08日

カテゴリ
今週のヒューエンス
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