早起き
今は、一年で最も早く朝が明ける季節です。4時前には太陽がすっかり顔を見せているはずですから、丑三つ時もそこそこに、3時ごろにはもう空が明るくなり始めている頃でしょう。
日の出が早いからと言って、普段の生活で3時や4時に起きることは稀ですが、森の中にテントを張ると、そうゆっくりとは寝かせてももらえません。一番鶏こそいないものの、森には早起きの鳥たちが沢山います。ツツドリの声が一番大きく、ポッポー、ポッポーという筒を叩くような大きな音が、朝が明けたか明けないかぐらいから響き始めます。夢うつつに、鳴き声が近づいたり、遠くなったりしているのを聞いているうちに、じりじりと焦り始め、もう起きる時間かと時計を確認すると、まだ4時半。日曜日の寝ぼけた頭には、何だか得したような損をしたような、如何ともしがたいまま起き上がり、外へ出てみると、辺りはしっとりとしたさわやかな空気につつまれていました。
そのまま誘われるように森を抜けて水辺へ出てみます。澄んだ青い水に若い緑が映し出され、鏡の中のように静かな空間が広がっていました。太陽はまだ山の陰にあり、鳥たちのさえずりさえも別の世界でのことのように思えるほどです。
朝も6時を過ぎると、景色は賑やかなものに変わっていました。風が吹き、波が立ち始め、森の木々の陰が湖面に落ちています。さえずりにはエゾハルゼミのしゃがれた声も加わりました。すっかり昼間の雰囲気に、急かされるように朝ご飯の準備を始めます。
自然の中でのんびりと過ごそう、というのは存外難しいものです。早起きたちに囲まれて、気がつけばいつもより早く片付けまで済ませ、沢山時間が余りました。じゃぁコーヒーでも、とやっと一息。でも、こんな風に振り回されるのもそんなに悪くありません。木漏れ日の中でほのかに漂うコーヒーの香りを、心ゆくまで味わうことができました。
- カテゴリ
- 今週のヒューエンス
- 更新日
- 閲覧数
- 581