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探検

 わんぱく盛りの子供時代、近所の同朋たちと毎日のように「探検」と称して、谷へ下り川筋を進んでみたり、山に入って道なき道を進んだりしたものです。何が目的ということもなく、(自分たちにとって)未知の世界を歩き、思わぬ生き物に出会ったり、思わぬ場所を見つけたりしながら、子供たちだけで突き進むことが、ただただ楽しくてならなかった記憶があります。果たして、今とやっていることはさほど変わらないように見えますが、その頃は良くも悪くも恐れを知らず、きっと人間の子供ともタヌキの子供とも区別がつかぬような遊び方だったのではないでしょうか。
 飛行機の中から日本列島を眺めると、本州も大部分は、北海道と何ら変わらないような緑の山々に覆われているように見えます。でも、その中を歩いてみると、北海道の山は少し印象が違っているように感じます。昔、探検に明け暮れた自然はいわゆる里山で、子供たちには大冒険の山の中も、実は大人たちが手を入れ、知り尽くしている範囲を超えることはありませんでした。一方北海道は、林道のすぐ脇にむき出しの自然があり、一歩踏み入れればそこはアイヌの人たちが名付けたカムイ達が、太古の姿のまま暮らしている森です。そこには人間の世界とは違う大きな力が渦巻いていて、子供の頃には決して感じることのなかった怖さが湧いてくるような空間です。
 しかし、五感を最大限に使って自らも自然の一部になりながら遊びまわれる山も、圧倒的な力をもち畏れの気持ちを抱かせる山も、探究心を大いに刺激してくれる存在であることには違いありません。心の赴くままに向き合い、挑み、学ぶべき相手のあることは、経験に凝り固まりがちな大人になったからこそ、有り難いと感じるのです。

2016年06月06日

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今週のヒューエンス
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