鳥たち
良く晴れた朝、白鳥の群れが会社の上空を通過しました。高いところを飛んでいても、あの大きな鳴き声はよく通ります。空を見上げてしばらく待っていると、良く統制のとれたV字編隊が真上を通りました。もうすぐ寒気がやってくるかもしれない、そう思ってほどなく、帯広には初氷の知らせが届きました。渡り鳥たちは、季節のメッセンジャーです。
少し風の強い日曜の昼下がり、サケの遡上を見に十勝川へ行きました。上流を目指すサケは、ピークから時期がずれているからなのか、心なしか数が少ない印象でした。ちょこまかと川を行ったり来たりする小型のカモたちの姿もまだなく、食後の一休みのような、ゆったりとした空気が流れる中、突然、カラスたちが一斉に飛び立ちました。頭が良くどんな相手にも向っていく彼らが慌てる時は、大抵、彼らよりも強い生き物が近づいてきた時です。案の定、大きな猛禽の影が現れました。まだオオワシが渡ってくるには少し早い季節ですから、このあたりに定住しているオジロワシでしょうか。くちばしが黒く、尾羽が白くなりきっていないので、成鳥になる一歩手前のようです。もう1羽も加わって、挨拶をし合うようにしばし2羽で旋回をした後、川沿いの上空を、高度を上げたり下げたりしながら往き来していました。わずかな羽ばたきでゆったりと風に乗る姿には、若鳥といえども、食物連鎖の頂点に立つ者の貫録が既に備わっています。
肉眼では判別できないので、いつも撮った写真を拡大して確認するのは、目です。まばたきをすることがあるのだろうかと思うほど、かっと見開かれた目は、優雅な飛行姿とは対照的に、常に獲物を探すハンターのそれそのもので、ぎらぎらとした強さが宿っています。あの若鳥たちは、この冬を超えればきっと立派な成鳥となるでしょう。個人的には、オオワシよりもオジロワシの精悍な顔つきが好みの私は、来年の今頃、一人前となった姿をまた見られるだろうかと、今から楽しみでなりません。
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