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2色

 ちょうどひと月ほど前、一緒に働く仲間のお祝い事がありました。仕事以外では、現像に多少時間がかかっても雰囲気よく撮れるフィルムカメラを使うことも多くあります。この時も、フラッシュを使わなくても室内を明るく撮れるフィルムを用意しましたが、しばらく使っていなかったカメラの中には数枚撮っただけのフィルムが、既に納められていました。どこで使ったのかを思い出せないまま、その時は深く考えもせずその後に続けて写真を納め、現像へ出して驚きました。「このフィルムは白黒なので当店では現像ができません。外注に出すので2週間ほどお時間がかかりますが宜しいでしょうか。」
 寝耳に水とはこのことで、とっさに返す言葉が出てきませんでした。白黒フィルムと知らずに使っていた自分にも驚きましたが、お祝い事の思い出が白黒になってしまったのかと、とても落ち込みました。ところが、出来上がった写真を見てみると、よい雰囲気に仕上がっていたのです。美しい衣装や背景の庭園ではなく、幸せそうな人々の表情に自然と目が向くような写真になっていました。本人にもいたく気に入ってもらえ、見せたその場でプレゼントすることになりました。
 色のない世界と書くと、何か味気のないものだと想像してしまいます。でも、色を尽くす美もあれば、たった2色で叶えられる美もあるのです。そして、冬に是非撮りたいと思っている写真があることを思い出しました。モノクロームに染まる朝の通りです。数年に1度あるかないかの、街の木々も信号も真っ白な霧氷に包まれる静寂の朝です。ありふれた景色を特別なものに変える魔法は、何かを足すことではなく、色を消すという引き算で成し遂げられるのです。その不思議さを追求してみたくなりました。

2017年12月18日

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今週のヒューエンス
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