ツキ
今年は、なんだかキタキツネにツキがあるような気がします。
久しぶりに冷たい雪が積もり、あぁ〜まだ2月だったか、と思い出した次の日。ゆらゆらと漂っていた早春のよどみを、雪にからめて全部地面に落とした後の空は、胸がすっとするような透明な空気で満たされていました。西の日高山脈も、北の東大雪の山々も、青い空にくっきりと白い頂を映し出しています。こんな日は、何の根拠もなく、いいことがありそうな気がします。
除雪されてできた雪山の上に、一頭のキタキツネが座っていました。密度の濃い背側の毛は、逆光に透けて輝いています。黒く縁取られた耳も、淡黄色のビー玉のような目も真っ直ぐこちらを向いています。一年で一番美しい時の姿を見せ付けているかのようです。
よく見てみると、眉毛の辺りにかすかに雪がのっていました。雪の中に餌を見つけて顔を突っ込んだのか、毛づくろいの死角なのか、凛々しい目つきに、少しだけお茶目がおまけされているところが、キツネらしいと可笑しくなります。それでも、これほどほれぼれするような毛並みを間近で見られる機会はそうめったにはありません。やっぱりこの日はいいことがありました。
2018年02月19日
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