夏の鳥
本州ならば平地でウグイスが鳴くのは、もう3ヶ月も前の頃でしょうか。北海道の平地ならそれよりも1月ほどは後でしょう。でも、少し標高をあげると、8月頃でもその声を頻繁に聞くことができます。よく晴れた暑い日、ぎらぎらとした太陽の高度に合わせるように、「ホーホケキョ、ケキョケキョケキョ」と、どんどんと"ケキョ"が続いていきます。人間たちを縄張りへの侵入者だと警戒しているのかもしれませんが、それがいつも可笑しく印象に残り、近頃は、春を告げる鳥というよりも、夏の鳥のイメージが強くなってきました。
ウグイスは木の枝や葉に隠れて鳴くことが多いので、声を判別できても、なかなか姿を見つけることは出来ません。でもノゴマはその反対です。飛び出た枝先や、突き出た岩の端の目立つ場所で、声の限りを尽くします。姿を見つけるのは簡単なのですが、カタカナで表現するのが難しい、長く複雑なさえずりをします。加えて、ウグイスにも負けないほどの大きな声で鳴き続けるものですから、その印象的な喉もとのオレンジ色を見つけるたびに、「歌いすぎて喉が腫れた」のがノゴマだな、と覚えたりしました。
身近なところでは、カラスやハクセキレイ、マガモなどが、大人とほぼ変わらない姿で、ですが甘えた声で鳴いているのを見かけるようになりました。じきに親元を離れ、夏の間に大陸を渡るだけの力をつけなくてはいけない若鳥たちも沢山いることでしょう。やっと北海道にも夏が来てくれて嬉しい、でも暑さはつらいとうだってばかりいると、季節はあっという間に冬に向かって下り始めてしまいます。ノゴマぐらい背筋をぴんと伸ばして、声を張って、短くて濃い夏を凛々しく過ごしたいものだと思います。
2018年07月17日
- カテゴリ
- 今週のヒューエンス
- 更新日
- 閲覧数
- 736