ホシ
先日、育てていたカボチャの葉にニジュウヤホシテントウとナナホシテントウがそれぞれ一匹ずつ付いていました。ナナホシテントウは真っ赤な羽に7つの丸い星の付いた、誰もが思い浮かべるテントウムシです。一方、ニジュウヤホシテントウはオレンジから黄色に近い地に、星が28個も付いています。ずいぶんと気前の良い星の数だ、などと暢気に眺めて放っておいたら、一週間も経たずに、ナナホシテントウは姿が見えなくなり、代わりにニジュウヤホシテントウが増えていました。
野菜を育てたことのある人なら良く知っていると思いますが、ナナホシテントウとニジュウヤホシテントウの間には、背中の星の数よりも決定的な違いがあります。ナナホシテントウは、作物に付くアブラムシなどを食べる捕食者なのに対して、ニジュウヤホシテントウは作物の葉を食べてしまう草食性のテントウムシなのです。つまり、野菜にとっては、ナナホシテントウは大歓迎なのに対し、ニジュウヤホシテントウは招かれざる客、ということになります。そのことを知りつつ放っておいたために、カボチャだけではなく、近くにあったナスやトマトまでが、気がつけば食欲旺盛なニジュウヤホシテントウの餌食となっていました。
こう書いていると、つくづく勝手な見方だな、と自分でも気付きます。実ったカボチャもナスもトマトも、いずれは私のお腹に収まることになるでしょう。作物にとっては、葉っぱをかじられる位ならまだ可愛く、全精力を傾けて作った実を食べてしまう人間の方が、よほど性質が悪いと思っているかもしれません。それでも、艶々とした赤いトマトや、ずっしりと詰まったカボチャが毎日元気に育っていく様子を見ていると、嬉しくて仕方がありません。そして、大切に食べてあげなければ、と自然に思えてきます。少々遅咲きの"食育"のようです。28もホシをつけたグルメなテントウムシと、野菜の好みが似ているのは光栄ですが、無事収穫を終えるまで、気の抜けない日々が続きそうです。
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