見張り役
曇った西の空に、太陽が沈んだ頃でしょうか。車から降りると、警戒の第一声が響きました。タンチョウらしいよく通る声ですが、少ししわがれています。2羽とも首の色がまだ茶色いので、若鳥なのでしょう。距離は、100mはあるでしょうか。私からすれば、もう少し近くに行きたいと思う遠さですが、若い彼らには緊張感のある近さのようです。背を向けつつも、ほとんど顔を動かさずにこちらの様子を伺っています。
そんなタンチョウたちを見張り役に立てて、後ろを泳ぐカモたちは自由気ままです。カワアイサやホオジロガモなど、潜ったり走ったり羽ばたいたり、ちょこちょこと動き回るわりにはタンチョウの近くから離れません。カモたちの逃げ足の速さは、いろいろいろな場面を見てよく知るところです。いざとなったら、じっと警戒を続けるタンチョウを差し置いて、いの一番に飛び去るのだろうなと思うと、寒々しい冬空の下の景色も、可笑しく見えてきます。
2019年02月04日
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