遠回りのススメ
オンネトーへ向かう途中、化石の発掘現場の案内が目に入り、久しぶりに行ってみたいと、脇道に入りました。学生の頃、実習で何度か訪れたことを思い出し、懐かしくなったのです。でも、記憶は遠く、分かれ道に当たっても、進むべき道がさっぱり思い出せません。まぁ、違っていたら戻ればいいだろう、と林の中を流れる川沿いの砂利道をごとごとと走り、「ここは発掘現場に続く道とは違うかも」と思い始めた矢先、黄色いお花畑が現れました。
「秋なのに・・・」
休耕地と思われるその場所を覆いつくす黄色い花は、山の斜面まで広がっていました。秋の風の中にかすかに甘い香りも混じっています。青空も、そこに浮かぶ白い雲も、花畑の先に広がる木々の緑も、どこかおぼつかなげな春のそれとは少し違った、穏やかな時間の流れる景色に浸りながら、コーヒーを沸かす道具でも持ってくればよかったなぁ、などと思います。
発掘現場は、やはりもう一方の道でした。でも、こんな景色に出会えるなら、遠回りも決して悪くはないと思うのです。
2019年09月02日
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